ユーザー名    パスワード         パスワード紛失  
メインメニュー
システムメニュー
アクセスカウンタ
今日 : 1515
昨日 : 1616
総計 : 2034320343203432034320343
学びの場、共有の場、自分自身が成長する場として

"大学への回帰"へ向けて

困ったことが起きたとき、その対応の仕方(問題解決法)の良し悪しが問われます。
解決へ向かうか、凋落へ向かうかは、まさにその対応にかかっていると言えます。

初期臨床研修制度が始まって5年が過ぎました。
ご存じのように、大学病院や地方の病院からは研修医が遠ざかる傾向にあります。
これは、今後の診療や教育体制のことを考えると、確かに憂慮する事態ではあります (matter)。

では、そのような問題を抱えた当事者は、どのような対策を打ち出してきたでしょうか。残念ながら、これといった対応はなされていないように思います。
現在の研修制度をどう変えるか、という問題 (issue) は本日のテーマではありません。今、研修医が少ないという問題 (problem) への対応について、私なりに考えるところを述べたいと思います。
(これから述べることはあくまで私見であることをお断りしておきます)

本日、このような記事を目にしました。



医師不足:研修医を呼び込もう 群大医学部付属病院、近都県の4大学と連携(2008.7.23 毎日新聞)

 ◇後期研修プログラム開始へ 得意分野を相互補完

 医師不足対策として研修医を呼び込もうと、群馬大医学部付属病院(石川治院長)は今年度から、日本大など関東近県の4大学と連携した研修医対象の後期研修(専門医育成)プログラムを始める。大学ごとに異なる得意分野を生かした魅力的なプログラムで、研修医を大学病院に定着させたい考えだ。【伊澤拓也】

 群大が近接する信州大(長野)、独協医科大(栃木)、日本大(東京)、埼玉医科大(埼玉)に提携を持ちかけ、文部科学省の補助金事業「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」に選定された。12年度までの5カ年事業で、今年度の補助金は約1億2800万円を申請。今後は群大が中心となってプログラムの実施を進める。

 プログラムでは、研修医に従来の診療科ごとよりもさらに細分化された専門医資格ごとのコースを選ばせ、5大学の病院や関連病院を循環してもらう。研修医にとっては特長の異なる病院で希望に沿った技能を習得できるメリットがある。大学側は多くの研修医を集めることで、大学病院に残る医師を増やして地域の医師確保を進める狙いがある。
 ◇地方の医師不足、深刻化が背景に

 背景には、地方の深刻な医師不足がある。04年の改正医師法で研修先に大学病院以外を選べるようになったことで、研修医が都市部に集中。研修医は研修後そのまま定着することが多いため、地方の医師は徐々に減少している。

 群大では今年度、同法で義務付けられる初期臨床研修を80人募集し、応募はわずか27人。ただ、より専門性の高い後期研修は想定よりも多い70人の応募があった。大学病院には優秀な専門医が多いためで、今後は提携によりさらに後期研修を強化する考えだ。

 群大昭和地区総務課は「地理的に近いため、医師の循環もスムーズに行える。それぞれの得意、不得意分野を補完し合い、研修医の確保に努めたい」としている。

毎日新聞 2008年7月23日 地方版




ようやく、このような対応をする大学病院が現れたか、というのが率直な感想です。
大学病院の研修制度は、初期研修の2年間を除けば、今でも、ほとんどの大学で、診療科あるいは講座への「入局」が前提となっています。
日本の大学に医学部が創設されて以来、紆余曲折はあったにせよ、「医局制度」の下でやってきたわけですから、理解できないわけではありません。

ただ、5年前に新臨床研修制度が導入されて以来、入局を敬遠する学生や研修医が急増しました。
2年間の初期臨床研修が終われば大学に戻ってくるに違いない、と期待を抱いていた大学の先生方を裏切るかのように、多くの大学で、研修医は戻ってきていません。
それはなぜなのでしょうか。

私見ですが、その大きな理由の一つに、「入局」があります。
以前、入局と言えば、いわばその医局に終身雇用されたようなものでした。入局すれば、独立して開業するまで、いや、開業後でさえも、その医局に面倒を見てもらえたのです。それはそれは、多くの医師にとっては、大変にありがたい組織でした。

が、それは昔のこと(つい数年前のことなのですけど)。
今の学生や研修医は、一つの組織に”固定化”されたがってはいません。
2年間の初期研修、3~5年間の後期研修、そして、その後のフェローシップと、いろいろな病院を渡り歩いて(場合によっては海外留学して)、いろいろな指導医・自分のロールモデルである指導医の下で、あるいは、理想的な研修システムを持つ病院での、研修を求めているのです。
たとえ、いい指導医あるいはいい病院に出会ったとしても、何年もそこに居着こうと考えている人は少なくなってきた、と感じています。
(その背景には情報化社会があると考えているのですが、それはあまり議論になりませんね)

ですから、”固定化”を前提にしては人は集まらない、というのが私の見解。
人を集めようとすれば、彼らを固定するのではなく、”流動化”させなければなりません。
上記に紹介した群馬大学の例が、まさにそれに当たるのではないかと思います。

医局が行った人事は”流動化”ではありません。それは医局人事だから。
研修医が希望すれば、他大学あるいは研修病院との間を自由に往来できる。そういう制度を導入しなければ、研修医は大学病院には見向きもしないように思います。
(専門研修が充実しているところは、その限りではないでしょうが、それは都市部の大学病院に限られているように見えます)

もちろん、流動化すればよいのか、ということだけではなく、研修プログラム自体の質もとても大切です。
流動化することで、複数の大学病院が提携することにより、研修医がそれぞれの大学病院の研修(システム)の質を評価するわけですから、互いにうかうかしていられません。
プログラムおよび指導医の質が、研修医の数に直結する、まさに「戦国時代」。
大学に人を呼び戻そうとするのであれば、まずは集める方法を打ち出すこと。集めることができれば、その中から必ず残る人が出てきます。
そこから、人の流れができ、人材の回帰が始まるのです。

大学病院には、本当に立派な指導医が数多く存在しています(変わった人もいますが、それは大学病院に限ったことではありません)。
群馬大学が取り組もうとしているプログラムは、あくまで一例。群馬大学は、今どきの学生や研修医の考え方や動向をよく分析したと思われます。
その考え方や動向は、地域により多少異なるかと思いますので、それぞれの地域の学生や研修医のニーズにあった、地方大学ならではの魅力あるプログラムを作り出すことが必要です。
挑戦的で創発的で魅力的なプログラムを提示し、質の高い教育を施せば、必ずや研修医が集まってくることでしょう。

情報収集 (information)、その分析とそこから得た情報 (intelligence) をもとに、新しい何かを生み出していく、創りだしていく。
それは、現代の情報化社会に要求されている「仕事」なのです。
その仕事を成し遂げることができるのか、そして、戦国の世を生き抜くことができるのか。
今、まさに”知の拠点”としての大学の真価が問われているのだと思います。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

コメントをどうぞ


Powered by The XOOPS Cube / Theme Design by OCEAN-NET
Customized by OKICEF member