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Clostridium difficile感染について その2

昨日は青木先生の『感染症診療の原則』セミナーに参加してきました。沖縄からでもネット中継で同時に聴講可能・・・いい世の中になったものです(笑)来年はグレードアップするそうで楽しみですね。

ではClostridium difficile感染についての続き、診断編です。参考文献は以下になります。
Diagnosis of Clostridium difficile infection by toxin detection kits: a systematic review
Clinical recognition and diagnosis of Clostridium difficile infection
Clostridium difficile — More Difficult Than Ever

C. difficile感染診断ではC.difficileの存在だけではダメで、C.difficileが産生するtoxinの存在の確認が必要です。C. difficileの存在≠CDADとはなりません。(痰からMRSA≠MRSA肺炎と同じ)それはC.difficileがtoxinを出す株と出さない株があるからです。

C.difficileをtoxin産生から考えると以下の3種類に分けられます。

1:toxin A(+)・ToxinB(+) C. difficile(A+B+):毒性有り 
2:toxin A(-)・ToxinB(+) C. difficile(A-B+):毒性有り
3:toxin A(-)・ToxinB(-) C. difficile(A-B-):毒性無し

toxin産生株は約30%程度、ToxinBのみ産性する株は2-3%という記載(pdf)もありました。ちなみにToxinAは腸管毒でToxinBは細胞毒です。
1:C.difficileの存在
○培養:嫌気条件下にCCFA 培地ないしCCMA 培地で培養を行い菌そのものを検出します。もっとも検出感度が高いですが、上記1,2,に加えてtoxinを産生しない株も検出するため特異度が落ちます。また時間がかかる(48時間以上?)というのも問題になります。他検査法に無いメリットとして菌を捕まえることができるということで感受性を測定できることがあります。自分の病院では行っていませんが日常診療において培養を行っている施設はどれくらいあるのでしょうか。

○Glutamate dehydrogenase(GDH)検出:C. difficileが産生する酵素、GDH(glutamate dehydrogenase:グルタミン酸脱水素酵素)を検出します。30分くらいで結果が出るという迅速性が売りですが、培養と同じようにtoxin非産生のC. difficileまで検出してしまうことから特異度が落ちます。感度は欧米の論文では96-100%とかなりよい(それでも培養よりは劣るとのこと)ですが、これはEIA法での報告で日本で使われている(使われていた?)『CDチェック』はラテックス凝集反応で感度/特異度ともよろしくないようです。

2:toxinの証明

○細胞培養法(Cell cytotoxicity assay):Gold standardとされる検査です。細胞毒であるToxinBをpicogramの単位まで検出できます。感度(98%)、特異度(99%)ともに優れた検査ですが、手間暇がかかる事や検査法が標準化されていないなどの理由?で一般病院では行われていないようです。

○EIA法によるToxin検出:ToxinAのみを検出できるタイプ(ユニクイック等)とToxinA/Bを両方検出できるタイプがあります。これまで国内では前者のみでしたが2007年から後者のタイプ(pdf)も使えるようになりました。(海外ではTech LAbTox A/B Quic chekとしてすでに使われている)自分の病院でも今年2月からToxinA/Bを両方検出できるタイプに切り替わっています。(これまでのキットはこちら)期間が短いので断定はできませんが、2007-8年での切り替え前後の陽性率は、切り替え前15%(98/652)、切り替え後17%(91/531)とそこまで大きな変化はない印象があります。国内でもいろいろな報告があるようです。また上記で紹介した論文ではキット間に差はなさそうです。(Tech LAbTox A/B Quic chekは比較されているキットの中でもっとも特異度が高いようです;99%)ただ、特異度が高くても検査前確率が高くなければPPV(陽性適中率)はあがらないわけで、まずは感度が高いEIA法のGDH検出キットをスクリーニングとして用いるのがよいとされています。ただ国内にはこのキットが無いようですが・・・

問題点として感度が低いことがあります。論文では70-80%とありますが、実際はもう少し低い(35-60%程度?)ではないかとIDATENのMLにもありました。ということでこの検査は繰り返して行うことで感度を上げる必要があります。何回繰り返せばいいのか?いう問題はありますが・・・自分は2-3回でしょうか。

最後にいつ検査を行うか?です。入院して3日目以降の抗菌薬使用歴がある患者の下痢症のほかに、原因不明の白血球高値などの例では疑ってもいいかと思います。悩むのは治療後の確認です。感染対策上の理由は除き、一般的には治療して症状が改善している場合の検査は必要ないとされています、また下痢をしていない人の検査も勧められてはいません。(ただしイレウスなど合併例では下痢は無い場合もあるとされる) 理由としては下痢がなければ周囲への感染のリスクは減少するし、どちらにしろ通常の接触感染対策を行うのは変わらないということがあると思われます。また治療後もC. difficileやToxinAが残存することがあるとされ、たとえ残存しても下痢や発熱などが改善してれば治療を行うことはない、という理由もあるでしょう。ただし転院などを行うときに検査を求められることもよくありますが・・・

以上長くなりましたが今の現状ではCDADを疑わせる患者に対してToxin検出(できればA/B両方検出できるキットで)を行う。陰性なら繰り返して(3回程度?)行う。それで陰性でも疑わしいようなら治療してみる、というのが一般的でしょうか。皆様のご意見を教えていただければ幸いです。

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