講演会で出ていたマイコプラズマ・クラミドフィラ(C. psittaciによるオウム病は除く)の臨床像のまとめ。
| マイコプラズマ | クラミドフィラ(C.pneumoniae) | |
| 市中肺炎に占める割合 | 10-15% | 3-5% |
| 症状 | Mild | Mild |
| 慢性気道炎症 | あり | あり |
| 劇症型 | あり(約5%) | なし |
| 発熱 | あり | ないことが多い |
| 抗菌薬耐性 | >60%(小児) | 低感受性 |
マイコプラズマの検査方法について。
- 抗原検査:塗抹検査では、菌体のサイズが150-250 nmと小さくグラム染色では菌体の確認は不可。培養検査ではPPLO培地(注:PDFファイル)を用いて培養可能ですが、時間を要する(1週間以上)ため迅速診断には適さない。
- 抗体検査:後述
- 遺伝子検査:PCR等がありますがまだ一般臨床では使えない。
- アルファ:レントゲンでは鑑別困難。HRCTでは斑状の分布を示す小葉中心性の結節と分岐状陰影(Tree-in-budパターン)と、小葉性あるいは区域性のスリガラス陰影や硬化影及び気管支血管束の肥厚が特徴とされます(教科書より)。講演でも肺炎球菌とは区別がつく可能性があるとお話されていました。 呼吸器病学会が出している「成人市中肺炎診療ガイドライン」に記載されている鑑別法はある程度有用とのこと。ちなみに、寒冷凝集素検査は感度、特異度とも50-70%とされ(マンデルより)単独検査としてはあまり有用ではないようです(下記の臨床状況などと合わせることで検査前確率をあげて使うといいかもしれません)。
表8-1 細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別
1.年齢60歳未満
2.基礎疾患がない、あるいは軽微
3.頑固な咳嗽がある
4.胸部聴診上所見が乏しい
5.喀痰がない、あるいは迅速診断で原因菌らしきものがない
6.末梢白血球数が10000μ未満である。
1.~5.の5項目中3項目以上陽性:非定型肺炎疑い 2項目以下陽性:細菌性肺炎疑い
1.~6.の6項目中4項目以上陽性:非定型肺炎疑い 3項目以下陽性:細菌性肺炎疑い
ただ、講演では高齢者(60歳以上)での適応は難しいこと、6/6ならほぼ(100%)、5/6なら90%の確率でマイコプラズマと思われるが、4/6、3/6では怪しくなってくる、とのお話もあり、また5項目中で3項目を満たす(非定型肺炎疑い)、6項目中でも3項目満たす(細菌性肺炎疑い)場合には判定が難しいとのことでした(このあたり一部不正確な記述かも)。
臨床の現場で使用されている血清診断ですが、マイコプラズマでは主にCF法(補体結合反応:主にIgGを測定)と、PA法(微粒子凝集反応:主にIgMを測定)が使われています。2週間以上の間隔でペア血清の比較でそれぞれ4倍以上の上昇、シングル血清(初診時にとった血清など)のみではCFでは64倍以上、PA法では320倍以上の抗体価が診断の基準となります(ただし後述のように小児では高い抗体価が続く場合があるので注意)。最近ではクロマトグラフ法を改良した迅速診断キット(イムノカード等)が臨床で多く使われていると思います。
問題点としては
- ペア血清では診断に時間がかかる→治療が終わっている?
- 成人感染ではIgM抗体産生がかなり弱い症例がある。→偽陰性の可能性
- 小児では抗体反応が強く、感染後1年以上もIgMが残存する例もある。→偽陽性の可能性
- IgM抗体は感染(発熱)から4日以降に産生されるとされ、感染5日未満ではイムノカードの感度は40%~50%程度にとどまるとされる→発症早期は偽陰性の可能性がある。
- イムノカード検査では健常成人での陽性が32%→偽陽性 の可能性
- 感染後30日経過してもイムノカード検査で陽性が72%(最長497日)→イムノカード陽性でも急性感染と確定できない (偽陽性の可能性)

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